アイ・ラブ・おデブ【完結】
試合開始から15分を過ぎた頃、隣に立っていた店主が小さな声で呟いた
「おぉっ!」
小夜はやっとフジ登山者達の半分をお腹に納め、ご飯を頬張るのに必死だった
きらりのフジはすでに山ではなくなり、どんぶりの底への掘削作業に入っていた
8分もの制限時間を残し、きらりは米粒もシッポも残さず試合を終えて静かに箸を置いた
それはマイクを静かに置く、引退セレモニーのような神聖さがあった
「姉ちゃんやるなあ…」
威勢を削いだ店主から、呆気にとられた声が出た
小夜は残り時間が30秒というギリギリの試合だった
「こっちもか…」
ガックリと肩を落とし一回り小さくなった店主は、店の奥へ音もなく消えていった
こちらが引退のようだ
代わりに奥から現れたのは、化粧の濃い無愛想なオバサンだった
壁の写真と同じ袋を二つ小夜達に押し付け、カメラを壁側に向けた
「二人一緒でいいね」
とアゴで示し、有無を言わせぬ迫力で二人を並ばせた
合図も無しにシャッターを切り、どんぶりを片付け始めた
…今のどんな顔してた?
もしかして目を閉じてたんじゃ…
無愛想なオバサンの後ろでニヤケている男は目に入らなかった
「おぉっ!」
小夜はやっとフジ登山者達の半分をお腹に納め、ご飯を頬張るのに必死だった
きらりのフジはすでに山ではなくなり、どんぶりの底への掘削作業に入っていた
8分もの制限時間を残し、きらりは米粒もシッポも残さず試合を終えて静かに箸を置いた
それはマイクを静かに置く、引退セレモニーのような神聖さがあった
「姉ちゃんやるなあ…」
威勢を削いだ店主から、呆気にとられた声が出た
小夜は残り時間が30秒というギリギリの試合だった
「こっちもか…」
ガックリと肩を落とし一回り小さくなった店主は、店の奥へ音もなく消えていった
こちらが引退のようだ
代わりに奥から現れたのは、化粧の濃い無愛想なオバサンだった
壁の写真と同じ袋を二つ小夜達に押し付け、カメラを壁側に向けた
「二人一緒でいいね」
とアゴで示し、有無を言わせぬ迫力で二人を並ばせた
合図も無しにシャッターを切り、どんぶりを片付け始めた
…今のどんな顔してた?
もしかして目を閉じてたんじゃ…
無愛想なオバサンの後ろでニヤケている男は目に入らなかった