アイ・ラブ・おデブ【完結】
目を瞑り墨の香りを深く吸い込むと、祖母の言葉が胸を苦しめた

真っ白な半紙を見つめ、ふぅ~っと吐き出せば小夜の頭の中は空っぽになり集中することができた

左側に置いた手本の"風"を見つめ初めの一筆を書き入れる

後は気持ちを集中させ、一筆一筆を半紙の上でスローダンスを踊らせる

「いいわ~!
やっぱり小夜は素直な、気持ちの良い字を書くね
私の目に狂いはないわ」

由美子は興奮したように小夜の出来上がりを誉めた

…え?素直な…気持ちのいい…字…
本当に…?
いつもババ様にけなされていたあたしの習字…

自信がなかったものを由美子は誉めてくれた
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