アイ・ラブ・おデブ【完結】
母に背中を押されゆっくりと部屋の中に入ると、小さな祭壇の向こうに白い布団に横たわる祖母が見えた

部屋中には線香の煙りと匂いが漂い、祖母の状況は説明が無くても分かりすぎる

「小夜…婆さん…逝っちまったよ
あんなにしぶとそうな婆さんなのにな…
線香をあげてくれ…」

兄が肩を抱き寄せて祭壇の前へと小夜を連れていく

そこには血色のない穏やかな表情で祖母が目を閉じている

兄に促されるまま線香を供え、手を合わせる

…死に目にも間に合わず、言葉を交わすことも出来なかった
もう二度と話せなくなってしまった
兄の電話をもらった時にすぐ来れば良かった…
いや…10年も時間はあったはず…
その間ずっと逃げていて…
あたしは何をしていたの…
どうしてもっと早くババ様と向き合わなかったの…

自分を責める言葉ばかりが頭の中をグルグルと回る
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