アイ・ラブ・おデブ【完結】
やはり一睡も出来ないまま、慌ただしい一日が始まってしまった

朝早くから準備が行われ、小夜も結美の横で座布団を運んだりお茶の支度を手伝ったりした

しかし、何をしていいのか分からず結美の後をくっついているだけなのが現状だ

火葬場には行かない妊婦の結美を残し、一行はバスや自家用車に別れ出発した

運転をする圭輔が何か話しかけるが小夜からの返事はない

隣に座る大輔がそっと小夜の右手を大きな手で包んでくれた

しかし今の小夜は何も聞こえず、何も感じる事ができなくなっていた

荼毘に付す前の最後のお別れに祖母の手に勇気を出してそっと触れてみた

恐ろしいほどの冷たく硬い感触に驚き、再び胸が苦しくなった
< 914 / 1,499 >

この作品をシェア

pagetop