アイ・ラブ・おデブ【完結】
部屋を訪れた時の楽しい気持ちはどこかに行き、どんよりとした気持ちで部屋を出た

それから何日か、宮本さんの具合が気になりながらも部屋を訪ねられなかった

次の日に退院を控えた午後、小夜は廊下の隅に膝を抱えて踞る男の子を見つけた

…みやもとのおばあちゃんちの子だ
…ないてるの?

袖口で乱暴に顔を擦るその少年は宮本さんの小学5年生の孫だ

わんぱく相撲で優勝をしそうな大きな体を丸めて、彼は声を押し殺して泣いていた

小夜は学校帰りにお見舞いに来た彼に、勉強やヒーローの名前を教えてもらったりしたことがある

いつもは意地悪な口調で小夜をからかい、困らせているのに今日はとても小さく見えた
< 934 / 1,499 >

この作品をシェア

pagetop