私だけの、不良なヒーロー。
「お父さん。お引取り願います。」
なかなか帰らない父に痺れを切らした陸斗は、同じように立ち上がってドアを示した。
「神楽坂さん。どうぞお引取りください。」
陸斗の低い声に父はやっと立ち上がり、私のほうを見ずに居間を出て行った。
ずっと黙って父の隣に座っていた母は同じく立ち上がり、私の前で止まった。
「南。元気、でね。」
そのとき、私は始めて母の腕のあざに気がついた。
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