私だけの、不良なヒーロー。
そう思いながらカバンをつかんで帰ろうとすると、運悪く担任に捕まってしまった。
「おう、神楽坂!」
「げ。」
「げ、じゃねーぞ、失礼な。これ、社会準備室まで運んでくれ。」
机の上に置いてあった社会のノートの束をとんとんとたたいて先生はそういう。
「えー、せんせーあたし用事が」
「ないだろ、どーせ。」
う、と言葉に詰まる。
「そういうことだと思った!じゃ、先生は友達と飲んでくるから、よろしく頼んだ!」
思いっきりパシリに使いましたーと宣言するようなセリフをかまして。
お腹が少し出た中年おじさんの担任は、
ガハハと笑いながら風のように去っていった。