私だけの、不良なヒーロー。




そう思いながらカバンをつかんで帰ろうとすると、運悪く担任に捕まってしまった。




「おう、神楽坂!」


「げ。」




「げ、じゃねーぞ、失礼な。これ、社会準備室まで運んでくれ。」




机の上に置いてあった社会のノートの束をとんとんとたたいて先生はそういう。





「えー、せんせーあたし用事が」
「ないだろ、どーせ。」


う、と言葉に詰まる。



「そういうことだと思った!じゃ、先生は友達と飲んでくるから、よろしく頼んだ!」



思いっきりパシリに使いましたーと宣言するようなセリフをかまして。




お腹が少し出た中年おじさんの担任は、




ガハハと笑いながら風のように去っていった。









< 8 / 123 >

この作品をシェア

pagetop