私だけの、不良なヒーロー。




「おい!!戻ってこい!!!」

と叫ぶ父の姿を背に。



彼は私を抱きかかえたまま、夕暮れの道をゆっくり歩いた。





時折うなる私を何回も抱きかかえなおして。






気がついたら、総合病院の反対側の道まで来ていた。







赤信号のため、彼は道端で止まって、




私を見下ろした。






そして、青になっても動かない彼を私が見上げたとき、




私の顔に熱い涙が一粒、落ちた。













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