まだ、恋には届かない。
「立てるか? ほら」
町田は亜紀の腰に手を回し、亜紀の手を自分の肩に置かせて、亜紀が立つのを手伝った。
亜紀は町田の手を借りて立ち上がったが、右足をつくことができなかった。
見てわかるほど、足首が腫れ始めていた。
「折ったか?」
「捻っただけだと思います、多分」
しゃがみこんで亜紀の足を見ている野田が、自分が怪我をしたかのように顔を歪める。
どんな状態なのか、自分で見てみたかったが、その顔見たら見るのが怖くなって、亜紀は視線を上に上げた。
「まず、腕を冷やそう。な?」
足と腕を交互に見ながら、町田は亜紀を支えるようにして給湯室の流し前に立たせ、その腕に水をかけ続けた。
「痕が残るほどじゃないと思うけどな。でも、医者で見たもらったほうがいいな。しばらく、痛むかもしれないからな」
「はい」
亜紀は、寄り添うようにして自分を支えてくれている町田に、無意識のうちに体を預けて、普段の亜紀なら見せることのない不安そうな顔で素直に頷いた。
総務課の女子社員2人がビニール袋に水と氷を入れて、氷嚢のようなものを作り始めた。
「松本さん。病院行くとき、これで腕と足、冷やしていってください」
「ごめんなさい。面倒かけちゃって。あー。廊下も、ごめんね。掃除まで。カップの破片危ないから」
「ごめんねはなし。こっちの心配なんかしなくていいの」
「松本さん。右足は靴脱いでシューズカバーにしよ」
「野田さん。ちと、これ、病院まで連れて行きますわ、俺」
「頼む」
「大丈夫ですよ。1人で」
「バカ。その足で無理だろ」
「でも、仕事、急ぎの」
「仕事なんか、戻ってきたからでも出来るんだよっ お前は自分の心配だけしてろっ バカっ」
「町田。バカはよせって。松本も、今パニック状態だろうが、怖い思いして」
町田は亜紀の腰に手を回し、亜紀の手を自分の肩に置かせて、亜紀が立つのを手伝った。
亜紀は町田の手を借りて立ち上がったが、右足をつくことができなかった。
見てわかるほど、足首が腫れ始めていた。
「折ったか?」
「捻っただけだと思います、多分」
しゃがみこんで亜紀の足を見ている野田が、自分が怪我をしたかのように顔を歪める。
どんな状態なのか、自分で見てみたかったが、その顔見たら見るのが怖くなって、亜紀は視線を上に上げた。
「まず、腕を冷やそう。な?」
足と腕を交互に見ながら、町田は亜紀を支えるようにして給湯室の流し前に立たせ、その腕に水をかけ続けた。
「痕が残るほどじゃないと思うけどな。でも、医者で見たもらったほうがいいな。しばらく、痛むかもしれないからな」
「はい」
亜紀は、寄り添うようにして自分を支えてくれている町田に、無意識のうちに体を預けて、普段の亜紀なら見せることのない不安そうな顔で素直に頷いた。
総務課の女子社員2人がビニール袋に水と氷を入れて、氷嚢のようなものを作り始めた。
「松本さん。病院行くとき、これで腕と足、冷やしていってください」
「ごめんなさい。面倒かけちゃって。あー。廊下も、ごめんね。掃除まで。カップの破片危ないから」
「ごめんねはなし。こっちの心配なんかしなくていいの」
「松本さん。右足は靴脱いでシューズカバーにしよ」
「野田さん。ちと、これ、病院まで連れて行きますわ、俺」
「頼む」
「大丈夫ですよ。1人で」
「バカ。その足で無理だろ」
「でも、仕事、急ぎの」
「仕事なんか、戻ってきたからでも出来るんだよっ お前は自分の心配だけしてろっ バカっ」
「町田。バカはよせって。松本も、今パニック状態だろうが、怖い思いして」