まだ、恋には届かない。
「サンキュ。あー。やっとコーヒーにありつけた」
そう言いながら、さっそくとばかりに一口、くいっとコーヒーを飲んだ町田は、「あー。酸味がいいな、これ」と、その顔を眺めていた亜紀が、まだ緩める余裕があったのかと驚くほど、表情を和ませた。
そうして、コーヒーを啜り出した町田は、背後を振り返り部屋を見渡した。
テーブル変わりの収納棚を初め、家具はフローリングの床よりやや薄い色合いの木目調の同じシリーズのもので統一されて、開けられ纏まっているカーテンは、アイボリーの生地に花のシルエットがライトブルーで描かれているようだった。
2人用サイズの小さなローテーブルが、リビングの真ん中に置かれ、ベランダに続く窓の近くに、葉を沢山茂らせたパキラの木が置いてあった。
物が少ない。
そんな印象の部屋だった。
「ジロジロ観察するの、やめてくれませんか?」
空いているスツールを引き寄せ、町田の斜め向かいに座った亜紀は、少し拗ねたような顔で町田を睨んでいた。
悪いと言いながら、まあ、職業病だと悪びれることなく明子に告げた。
「もっと、いろいろ、ゴチャゴチャしてる部屋かと思ってたよ。例のヒーロー戦隊のヤローのポスターだの張りまくってたり、おもちゃみたいなのが溢れてたり。机の上にいろいろ置くだろ、お前」
某キャラクター物の食玩を集めている亜紀の机は、とてもカラフルなものだった。
そう言いながら、さっそくとばかりに一口、くいっとコーヒーを飲んだ町田は、「あー。酸味がいいな、これ」と、その顔を眺めていた亜紀が、まだ緩める余裕があったのかと驚くほど、表情を和ませた。
そうして、コーヒーを啜り出した町田は、背後を振り返り部屋を見渡した。
テーブル変わりの収納棚を初め、家具はフローリングの床よりやや薄い色合いの木目調の同じシリーズのもので統一されて、開けられ纏まっているカーテンは、アイボリーの生地に花のシルエットがライトブルーで描かれているようだった。
2人用サイズの小さなローテーブルが、リビングの真ん中に置かれ、ベランダに続く窓の近くに、葉を沢山茂らせたパキラの木が置いてあった。
物が少ない。
そんな印象の部屋だった。
「ジロジロ観察するの、やめてくれませんか?」
空いているスツールを引き寄せ、町田の斜め向かいに座った亜紀は、少し拗ねたような顔で町田を睨んでいた。
悪いと言いながら、まあ、職業病だと悪びれることなく明子に告げた。
「もっと、いろいろ、ゴチャゴチャしてる部屋かと思ってたよ。例のヒーロー戦隊のヤローのポスターだの張りまくってたり、おもちゃみたいなのが溢れてたり。机の上にいろいろ置くだろ、お前」
某キャラクター物の食玩を集めている亜紀の机は、とてもカラフルなものだった。