まだ、恋には届かない。
昼食の後片付けをする。
といっても、洗い物は町田がやってくれた。
昼飯の礼だと言って、手際よく町田は洗っていった。
その手つきを見て、どうやら、町田は家では洗い物当番らしいと亜紀は推測した。
町田には、付き合って2年になる彼女がいる。
2つ年下だと聞いたような気がした。
同棲しているとは聞いていないが、町田も一人暮らしだから、半同棲のような感じなのかなと、亜紀はそんなことを考えた。
水切り籠の中の皿を、手に負担かけないようにゆっくりと拭いていく。
来客用にと買い置いた皿を、亜紀がこの部屋で使ったのは、初めてのことだった。
誰かと。
部屋で食事なんて。
何年ぶりだろ。
そんなことを考え出したら、妙に寂しさが募ってきた。
先日。叔母から持ちかけられて見合い話を亜紀は思い出した。
お見合い、かあ。
それもありかな。
こんな怪我をしても、頼れる人すら、亜紀にはいなかった。
一人って、
こういう寂しさにも
耐えなきゃいけなんだよね。
ふと。
腰に回された町田の手を思い出した。
寄りかかった温もりを思い出した。
町田の顔が脳裏に浮かぶ。
頭を振って、亜紀はその顔を頭の中から追い出した。
もう。
人のものは欲しがらない。
あの人は、人のもの。
亜紀はそう自分に言い聞かせた。
けれど。
誰よりも真っ先に、事務所を飛び出して駆け下りてきてくれたあのときの顔だけは。
この先何があっても、亜紀は絶対忘れることないだろうと、そう思った。
信用してくれと、町田は言った。
信用も、信頼も、何もかも。
とうの昔に、私は町田さんに丸ごと差し出してますよ。
胸の中の町田に、亜紀はそう語りかけた。
あなたに何かがあったなら。
きっと、私も飛んでいく。
亜紀は、そう思った。
といっても、洗い物は町田がやってくれた。
昼飯の礼だと言って、手際よく町田は洗っていった。
その手つきを見て、どうやら、町田は家では洗い物当番らしいと亜紀は推測した。
町田には、付き合って2年になる彼女がいる。
2つ年下だと聞いたような気がした。
同棲しているとは聞いていないが、町田も一人暮らしだから、半同棲のような感じなのかなと、亜紀はそんなことを考えた。
水切り籠の中の皿を、手に負担かけないようにゆっくりと拭いていく。
来客用にと買い置いた皿を、亜紀がこの部屋で使ったのは、初めてのことだった。
誰かと。
部屋で食事なんて。
何年ぶりだろ。
そんなことを考え出したら、妙に寂しさが募ってきた。
先日。叔母から持ちかけられて見合い話を亜紀は思い出した。
お見合い、かあ。
それもありかな。
こんな怪我をしても、頼れる人すら、亜紀にはいなかった。
一人って、
こういう寂しさにも
耐えなきゃいけなんだよね。
ふと。
腰に回された町田の手を思い出した。
寄りかかった温もりを思い出した。
町田の顔が脳裏に浮かぶ。
頭を振って、亜紀はその顔を頭の中から追い出した。
もう。
人のものは欲しがらない。
あの人は、人のもの。
亜紀はそう自分に言い聞かせた。
けれど。
誰よりも真っ先に、事務所を飛び出して駆け下りてきてくれたあのときの顔だけは。
この先何があっても、亜紀は絶対忘れることないだろうと、そう思った。
信用してくれと、町田は言った。
信用も、信頼も、何もかも。
とうの昔に、私は町田さんに丸ごと差し出してますよ。
胸の中の町田に、亜紀はそう語りかけた。
あなたに何かがあったなら。
きっと、私も飛んでいく。
亜紀は、そう思った。