赤い恋
■転入生■
「アオちゃん、今日ね、転入生がくるらしいよ」
「へぇー。そーなんだぁ」
「男らしいよ~」
「ふーん…」
シグレの話を私は興味なさげに聞いて適当に返事をした
それに対し、シグレは大きな目をさらに開き、不安そうな表情を浮かべた。
「な、なに?」
「…俺、不安だよ」
「はあ?何が?」
「そいつが、アオちゃんの事、好きになるかもしれねーじゃん」
シグレは拗ねたように口を尖らせた。
「はぁー?意味わかんないしっ?!」
シグレ…そんな顔してるあんたの方が、心配なんだけど?
「アオバはさあ…俺のそばにいてくれるよね?」
シグレは私の幼馴染。
頼りなくって、泣き虫で、私より女の子みたいで…それでも皆に好かれている。
そんなシグレが羨ましくって仕方がなかった。
でも…皆がシグレを可愛いと思うように
私もシグレが可愛くって、ほっとけない存在で。
だから、私はシグレと同い年にもかかわらず
お姉ちゃん役だった。
ある日、友達にイジメられてシグレが泣いていた時…
どーしてもシグレが泣きやまないから、私はシグレにこう言った。
それは、子供ながらに心から思った事でもあった。
『シグレくんは、アオバが守ってあげるからね。』
その日から、私とシグレはずっと一緒にいる。
親同士の仲がいいから、可能だった話だけど…
でも親の関わりがなくても、私とシグレは必ず出会っていたと思う。
別に理由はないけど、そう思うのだ。
「ねぇ?アオちゃん。守ってくれるよね?」
だから、私はなんの戸惑いもなく答えた。
「えぇ。もちろん」
シグレはホッとしたように、大きな目をたれ目にして笑った。
それと同時に、チャイムがなった。
私は一番後ろの席に、
シグレは私の右の二つ前の席に戻った。