永遠を繋いで
次の日の学校は、昨日めでたく赤い糸で結ばれた二人の話題で持ちきりだった。
付き合っている相手がいるにも関わらず、別の相手との間にそれが現れることは稀なことらしい。おかげでそれを知る人からは同情の眼差しを送られ、気分は最悪だった。

はぁ、と盛大に溜め息を吐くと隣から涼太が、横からは真美と蓮が、それぞれに言葉をかけてきた。

「真咲、俺のお菓子やるから元気出せ」

「あぁ、ありがと」

「あ、じゃああたしもこれあげるー」

「えと、俺は…」

「いやいいよ。蓮もう全部食べたじゃん。てか涼太が自分の食べ物くれたことが珍しすぎて感動したからもう十分。真美もありがと」

「お前俺を何だと思ってんだよ」

ギャーギャーと涼太が騒ぎ出すが、なんだかんだで心配してくれているのは分かる。いくら口が悪くても、こいつは面倒見がいいので気にかけてくれる。それを苦笑して見る二人だって同じだ。

「あ、茜くん」

「ども」

「おはよ。珍しいね、三年の教室まで」

「まぁ、」

走ってきたのだろう、息を少しだけ切らした二年生の茜くんが涼太とあたしの間に入った。

「ちゃんと食ってんすか」

「うん、心配してくれたんだ」

「当たり前のこと聞かないで下さい」

「ありがとね」

茜くんが優しく笑んだ。
涼太と蓮の部活の後輩という繋がりしかなかったのに、今では多分あたしに一番懐いている。あたしの変化を一番に気付いてくれるのも、多分茜くんだ。
それは元彼と付き合っていた頃からずっと変わっていない。

「先輩、午後さぼりましょ」

「ん、いいよ」

今だって、あたしの心中を察しての行動だって、分かっている。
茜くんはテスト前のこの時期に授業をサボることは、まずしない。

あたしが未だに泣いてないことなんて、きっと彼はお見通しなんだ。

涼太の冷やかしの声を後ろに聞きながら、腕を引かれるまま茜くんの後に続いて教室を出た。

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