永遠を繋いで
部活の準備をしていると、蓮先輩と真美先輩が歩いてくるのが見えた。二人の手が繋がれているのを見る限り、上手くいったようだ。はにかんだ笑顔で付き合ったと報告をされた後に、お前も頑張れといい笑顔で言われた。
言われなくても、と毒を吐くのはやめておく。
部活終了の合図に、片付けもそこそこに着替えて走る。グラウンドの近くにきょろきょろと周りを探す真咲先輩の姿を見つけた。
声をかければやはり俺を迎えにきたようで、嬉しそうに口角が上がるのに気付く。
額に流れた汗を、何の躊躇いもなく伸ばされた真咲先輩の小さな手が拭った。珍しい先輩からの行動に、不覚にも顔に熱が集まる。
いつもなら温かいと感じる体温も、肌が火照るせいかひやりとして気持ちいい。
今は可愛い後輩、くらいにしか思われてないんだろうな。
ふと、そんなことが過ぎる。近付きたいのに近付けない距離が、もどかしい。
マンションの前に着き、真咲先輩のカーディガンの裾を引っ張るように掴んだ。改まった空気に体が緊張する。心なしか、真咲先輩も緊張しているように見えた。
「一緒にテスト勉強しません?」
え、と短い言葉の後に訪れた少しの沈黙。
ほんの少しだけ、不安が襲った。とてつもなく長いものと思えたそれも、真咲先輩の笑い声で幕を閉じる。なんとなく今は情けない顔をしている気がした。
「いいよ」
ほっと胸をなでおろす。
約束を取り付けられた安堵に、掴んでいた裾を離した。また明日、言い合って家に向く足取りが心なしか軽くなる。
真咲先輩の家に行くのは初めて、だ。
少し前までは想像もできなかったことを、今は現実に出来ている。少なからずも進歩があった、ととっていいのだろうか。
ただ、意識されるどころか俺に対しての警戒心すら皆無のような気がする。心を許していると言えば聞こえはいいが、それが彼女の中で男と認識されてのものかどうかは分からない。以前涼太先輩のことを近所の小学生に似ていると言っていたことを思い出した。それと同等、もしくは以下の分類はごめんである。
やっぱり道のりは長い、か。
言われなくても、と毒を吐くのはやめておく。
部活終了の合図に、片付けもそこそこに着替えて走る。グラウンドの近くにきょろきょろと周りを探す真咲先輩の姿を見つけた。
声をかければやはり俺を迎えにきたようで、嬉しそうに口角が上がるのに気付く。
額に流れた汗を、何の躊躇いもなく伸ばされた真咲先輩の小さな手が拭った。珍しい先輩からの行動に、不覚にも顔に熱が集まる。
いつもなら温かいと感じる体温も、肌が火照るせいかひやりとして気持ちいい。
今は可愛い後輩、くらいにしか思われてないんだろうな。
ふと、そんなことが過ぎる。近付きたいのに近付けない距離が、もどかしい。
マンションの前に着き、真咲先輩のカーディガンの裾を引っ張るように掴んだ。改まった空気に体が緊張する。心なしか、真咲先輩も緊張しているように見えた。
「一緒にテスト勉強しません?」
え、と短い言葉の後に訪れた少しの沈黙。
ほんの少しだけ、不安が襲った。とてつもなく長いものと思えたそれも、真咲先輩の笑い声で幕を閉じる。なんとなく今は情けない顔をしている気がした。
「いいよ」
ほっと胸をなでおろす。
約束を取り付けられた安堵に、掴んでいた裾を離した。また明日、言い合って家に向く足取りが心なしか軽くなる。
真咲先輩の家に行くのは初めて、だ。
少し前までは想像もできなかったことを、今は現実に出来ている。少なからずも進歩があった、ととっていいのだろうか。
ただ、意識されるどころか俺に対しての警戒心すら皆無のような気がする。心を許していると言えば聞こえはいいが、それが彼女の中で男と認識されてのものかどうかは分からない。以前涼太先輩のことを近所の小学生に似ていると言っていたことを思い出した。それと同等、もしくは以下の分類はごめんである。
やっぱり道のりは長い、か。