永遠を繋いで
真咲先輩の特技が料理だと知ると同時に、俺の中で彼女の株価が上がった。何故か、と訊かれれば、好きな人に料理を作ってもらうことに憧れがあるからである。
俺に負けず劣らずポーカーフェイスを崩さない兄が、初めて兄弟の前で弛みきった顔を曝したのが新婚時代嫁にそれをしてもらっていた時だ。同じく見ていた姉は引きつった顔をしていたが、俺としてはそんな風にだらしなく、しかし幸せそうに弛む頬を見せた兄が、焼き付いて離れないのだ。
「真咲ね、お菓子とかも上手だよ」
頭の片隅に思い出しながら先輩達の話に耳を傾ける。何度も失礼だとは思うが、意外だ。
また口に出すと軽く小突かれた。
見た目に反して随分と家庭的らしい。そんなに派手というわけではないが、俺のイメージしていた家庭的な女の子とはかけ離れた印象だったので期待を裏切られた感じである。勿論いい方の意味で、ではあるが。
次の調理実習は貰えるだろうと思う。俺が頼んだことを、真咲先輩は一度も断ったことがないのだから。普段はしないような笑顔というオプションがついていれば尚更だ。
「あ、あとそれも欲しい」
口を開け視線で訴えながら待っていると、躊躇いがちに俺の口へ真咲先輩がフォークを運んだ。
周りから起こったざわめきに恥ずかしそうにするが、俺としては満足だ。蓮先輩においては赤面しながら恥ずかしいと咎めてくる。へたれめ、というのは思うだけに留めておいた。
「ねぇ、先輩もう一個。ほらあーん」
未だにざわめく女子もいるが、関係ない。
今日は邪魔に入る者もいないし、恥ずかしそうに笑いながらも真咲先輩は俺を甘やかしてくれるのだから、存分に甘えてやろうと思う。
見せつけるには十分だ。
俺に負けず劣らずポーカーフェイスを崩さない兄が、初めて兄弟の前で弛みきった顔を曝したのが新婚時代嫁にそれをしてもらっていた時だ。同じく見ていた姉は引きつった顔をしていたが、俺としてはそんな風にだらしなく、しかし幸せそうに弛む頬を見せた兄が、焼き付いて離れないのだ。
「真咲ね、お菓子とかも上手だよ」
頭の片隅に思い出しながら先輩達の話に耳を傾ける。何度も失礼だとは思うが、意外だ。
また口に出すと軽く小突かれた。
見た目に反して随分と家庭的らしい。そんなに派手というわけではないが、俺のイメージしていた家庭的な女の子とはかけ離れた印象だったので期待を裏切られた感じである。勿論いい方の意味で、ではあるが。
次の調理実習は貰えるだろうと思う。俺が頼んだことを、真咲先輩は一度も断ったことがないのだから。普段はしないような笑顔というオプションがついていれば尚更だ。
「あ、あとそれも欲しい」
口を開け視線で訴えながら待っていると、躊躇いがちに俺の口へ真咲先輩がフォークを運んだ。
周りから起こったざわめきに恥ずかしそうにするが、俺としては満足だ。蓮先輩においては赤面しながら恥ずかしいと咎めてくる。へたれめ、というのは思うだけに留めておいた。
「ねぇ、先輩もう一個。ほらあーん」
未だにざわめく女子もいるが、関係ない。
今日は邪魔に入る者もいないし、恥ずかしそうに笑いながらも真咲先輩は俺を甘やかしてくれるのだから、存分に甘えてやろうと思う。
見せつけるには十分だ。