永遠を繋いで
襲う眠気と朝の二人のせいで、順調に上がっていた気分は地に落とされた。涼太先輩から制裁を受けたにも関わらず、どうやら懲りてはいないらしい。会いたくもない人ほど顔を合わせてしまうようで、教室を出るタイミングまで同じだった。
待ち合わせは二年生のフロアだったが、やはり真咲先輩のいる教室まで迎えに行くことにする。
顔を見ただけで安らぐような気がするのは気のせいか。頭一つ分より低い頭になんとなくぽん、と手を置くと、何とも言えないような表情で見上げられた。
何かを堪えるような、考えているような。見方によっては拗ねているような。珍しい表情に、何だか胸が高鳴った。
襲いますよ、なんて口から出たのは冗談半分。それでもいい反応をくれる彼女は可愛らしい。
今朝したように手をとって、指を絡めとる。所謂恋人繋ぎというものだ。
周囲がざわりとしたと同時に、真咲先輩に向いていた視線を、遠くに投げる。呆然としたような間抜け面を曝す、先程の男を見ていると怯んだ表情を見せた。
彼女は誰にも渡さない、そんな意味合いを視線に込めて見せつける。
繋いだ手の力を強くして、真咲先輩を引っ張るように足早に歩いた。俺の口から出ていく言葉は、嫉妬によるものばかりだ。彼女は何も悪くないのに、不機嫌な顔になる自分に嫌気がさす。
怒っているか、それとも困っているだろうか。
恐る恐る覗き込んできた真咲先輩と視線を合わせれば、いつもの優しい笑顔だった。心なしか嬉しそうにも見える。
その表情に小さくほっと息を吐く。
「そんな心配しなくても、茜くんが一番可愛い後輩だよ」
ペット扱いではないだけ良しとするべきか。
そこからは笑い合って恋人繋ぎのまま帰路を辿った。
彼女の両親、いや主に父親への若干の恐怖心を抱きながら一人悶々としていたのが無駄になると分かるまで、あと五分である。
待ち合わせは二年生のフロアだったが、やはり真咲先輩のいる教室まで迎えに行くことにする。
顔を見ただけで安らぐような気がするのは気のせいか。頭一つ分より低い頭になんとなくぽん、と手を置くと、何とも言えないような表情で見上げられた。
何かを堪えるような、考えているような。見方によっては拗ねているような。珍しい表情に、何だか胸が高鳴った。
襲いますよ、なんて口から出たのは冗談半分。それでもいい反応をくれる彼女は可愛らしい。
今朝したように手をとって、指を絡めとる。所謂恋人繋ぎというものだ。
周囲がざわりとしたと同時に、真咲先輩に向いていた視線を、遠くに投げる。呆然としたような間抜け面を曝す、先程の男を見ていると怯んだ表情を見せた。
彼女は誰にも渡さない、そんな意味合いを視線に込めて見せつける。
繋いだ手の力を強くして、真咲先輩を引っ張るように足早に歩いた。俺の口から出ていく言葉は、嫉妬によるものばかりだ。彼女は何も悪くないのに、不機嫌な顔になる自分に嫌気がさす。
怒っているか、それとも困っているだろうか。
恐る恐る覗き込んできた真咲先輩と視線を合わせれば、いつもの優しい笑顔だった。心なしか嬉しそうにも見える。
その表情に小さくほっと息を吐く。
「そんな心配しなくても、茜くんが一番可愛い後輩だよ」
ペット扱いではないだけ良しとするべきか。
そこからは笑い合って恋人繋ぎのまま帰路を辿った。
彼女の両親、いや主に父親への若干の恐怖心を抱きながら一人悶々としていたのが無駄になると分かるまで、あと五分である。