永遠を繋いで
「そういえばさー、所有印の意味があるんだって」
なんの脈絡もないそれに、あたしは頭に疑問符を浮かべた。
何が、と隣りを振り返るものの、言った張本人である真美はお構いなしに話を進めていく。
「独占欲強いんだねー。冷めてみえるのに意外」
「ねぇ、何の話?」
「これだよこれ。茜くんからの誕生日プレゼント」
そう言って指差したのはあたしの耳に光るピアス。誕生日に茜くんから貰い、その日から毎日つけるようになった。別に言われたわけではないのだが、つけていることに気付くと嬉しそうというか機嫌が良さそうに見えるのでつけている。
しかし片方だけ、である。もう片方は、なぜだかあの時茜くんの手によって奪われ、自分の耳につけていた。その行動を疑問に思ったが特に理由は気にしていなかったのだけれど。
それを何となしに言ってみると、真美がニヤリと悪戯に笑ってみせた。
「永遠に離れませんように、」
「え?」
「確か、そんな意味だったと思うよ。カップルが同じピアスを一個ずつつけるのって」
「カップルじゃないけどね」
そう言ってはみるものの、内心は嬉しい。
茜くんがそれを知っていてあたしにこれを贈ったのか、その事実は分からないけれど。平然とこちらが恥ずかしくなるようなことを言ってのけることもあるので、案外そういうことも知っているのかもしれない。
だから男女どちらでもつけれるような、シンプルな物なのか。最初からそのつもりだったのだろうか。
だとしたら、相当ロマンチックな思考をしているのだろう。けれど、嫌いではない。
「それくらい想われてるんだから付き合えばいいのに」
真美は笑っていたけれど困った顔をしたように、見えた。
真美は強要はしない。あたしにも、仲の良い他の人にも。あくまでも、本人の意思を尊重しようとする。
きっと真美はみんなの気持ちを知っている。
誰の矢印が誰に向いているのか。涼太の気持ちにも、気付いている。あたしに対しての執着が友達としてのものではなくなったことも、茜くんに対しての嫉妬が敵対心からくるようなものになっていることも。
小さい子供が玩具をとられたような可愛らしいものなんかじゃなくなっていることも、気付いている。
「みんなが幸せになれればいいのに」
それはあたしに向けられたわけではない。真美の独り言。
誰の傷付く顔も見たくない、彼女の願い。
けれどそんな選択肢は、きっとどこにもないのだ。
誰かが幸せになれば、誰かが傷ついている。それはどうしたって避けられないことだから。
なんの脈絡もないそれに、あたしは頭に疑問符を浮かべた。
何が、と隣りを振り返るものの、言った張本人である真美はお構いなしに話を進めていく。
「独占欲強いんだねー。冷めてみえるのに意外」
「ねぇ、何の話?」
「これだよこれ。茜くんからの誕生日プレゼント」
そう言って指差したのはあたしの耳に光るピアス。誕生日に茜くんから貰い、その日から毎日つけるようになった。別に言われたわけではないのだが、つけていることに気付くと嬉しそうというか機嫌が良さそうに見えるのでつけている。
しかし片方だけ、である。もう片方は、なぜだかあの時茜くんの手によって奪われ、自分の耳につけていた。その行動を疑問に思ったが特に理由は気にしていなかったのだけれど。
それを何となしに言ってみると、真美がニヤリと悪戯に笑ってみせた。
「永遠に離れませんように、」
「え?」
「確か、そんな意味だったと思うよ。カップルが同じピアスを一個ずつつけるのって」
「カップルじゃないけどね」
そう言ってはみるものの、内心は嬉しい。
茜くんがそれを知っていてあたしにこれを贈ったのか、その事実は分からないけれど。平然とこちらが恥ずかしくなるようなことを言ってのけることもあるので、案外そういうことも知っているのかもしれない。
だから男女どちらでもつけれるような、シンプルな物なのか。最初からそのつもりだったのだろうか。
だとしたら、相当ロマンチックな思考をしているのだろう。けれど、嫌いではない。
「それくらい想われてるんだから付き合えばいいのに」
真美は笑っていたけれど困った顔をしたように、見えた。
真美は強要はしない。あたしにも、仲の良い他の人にも。あくまでも、本人の意思を尊重しようとする。
きっと真美はみんなの気持ちを知っている。
誰の矢印が誰に向いているのか。涼太の気持ちにも、気付いている。あたしに対しての執着が友達としてのものではなくなったことも、茜くんに対しての嫉妬が敵対心からくるようなものになっていることも。
小さい子供が玩具をとられたような可愛らしいものなんかじゃなくなっていることも、気付いている。
「みんなが幸せになれればいいのに」
それはあたしに向けられたわけではない。真美の独り言。
誰の傷付く顔も見たくない、彼女の願い。
けれどそんな選択肢は、きっとどこにもないのだ。
誰かが幸せになれば、誰かが傷ついている。それはどうしたって避けられないことだから。