永遠を繋いで
もう日も暮れてきたというのに、昼間と変わらないくらいに混んでいる。さすがニューオープンしたばかりの大型店なだけのことはある。
トイレに行くと言った二人を人ごみを抜けた所で蓮と待っているのだが、この分だと向こうも混んでいるだろう。

蓮と二人になるのは、もう随分と久しぶりのことかもしれない。というよりもあたしと蓮という組み合わせ自体が珍しい。
そんなことを考えていると、ふいに目が合った。同じことを思っていたらしく、何か変な感じだね、なんて笑う。
毎日学校で一緒にいるのに、それもおかしな話かもしれないが。

「涼太なんだけどさ、」

「うん?」

「あいつあんなことばっかしてるけど真咲のこと好きなのは本当なんだ」

「…そう」

急に何を言い出すのかと思えば、不意にそんなことを言われて内心戸惑ってしまう。なんだか顔を見ていられなくて視線を外す。

「ただ、お前のこと好きなのに、ましてや告っといて何であんなこと繰り返してんだよって、真美も茜も不信感感じてる」

「そうみたいだね」

「あいつが何思ってあんなことしてるか分かんないし、一々口出すのも嫌だけど、今回のは俺も目に余るものがあるんだよ」

「はは、蓮が言うなら随分ひどいんだね」

「まぁ、結構ね」

苦笑を見せたあと目を捕らえられ、なんとなく逃げられない気がしたのでそのまま言葉の続きを待った。

「止めさせてやって。多分真咲の言うことなら俺等が言うより聞く耳持つだろうからさ」

「うわぁ、責任重大じゃないそれ?」

おどけたように言ってみせれば、申し訳なさそうに下がっていた眉はそのままに、少しだけ表情が和らいだ。
頼んだよ、なんて蓮が珍しくお願いするのだからあたしは素直に首を縦に振ることしか出来ない。

あとは一切それに触れようとはしなかった。
過剰な女遊びを止めさせてほしいというのは本心だろうが、多分未だ話をつけられずにいるあたしにきっかけを与えてくれたのだろうと思う。

だって、このままではあたしだけじゃない、涼太の何かが、みんなとの何かが崩れてしまうと、蓮は分かっているだろうから。
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