永遠を繋いで
茜くんと別れ教室に行くと涼太がコンビニの袋を漁っていた。朝から一体どれだけの量を食べるんだという多さに苦笑しつつ、その隣にある自分の席へ鞄を置いて挨拶をする。もごもごと口を動かしたあとに甘ったるそうなパックのジュースに手を伸ばしていた。見ているこっちが胸焼けしそうだ。
口の中が空になった涼太があたしに悪戯な笑顔を見せる。
「朝から仲良しなこって」
「見てたの?」
「女子がキャーキャー騒いでた。あいつ俺に劣らずまぁイケメンだからなー」
「…茜くんに謝れ!」
「何でだよ!」
加減しながらあたしのポニーテールを引っ張る。
それが地味に痛かったので、目の前にある脱色された傷んだオレンジの髪を掻き回してやった。反論の声が聞こえたが、知らない振りをしてやる。
あ、と思い出したように声を出したので、今度は何かと涼太を見ると乱れた髪を直しながらストローを啜った。
「お前化粧薄くね?茜の好み?」
「そういうわけじゃないけど。気分転換」
「へぇ、まぁいいんじゃね」
飲み終わったのかパックを潰してごみ箱へ投げると、涼太くんすごーい、と何人かの女の子の黄色い歓声。
それに調子にのってどや顔をするこの男を無視してもいいだろうか。あたしにはあの女の子達が騒ぐ理由がひとつも理解出来ない。無駄にいいのは顔だけだ。
顔がいいのは、この二人もまた然り。
真美がふわふわの茶髪を揺らしてあたし達の方に歩いてきた。その後を追うように現れた蓮も爽やかさは健在だ。端から見ればお似合いのカップルだ。周りも思っていることは同じようで、羨望やら嫉妬の眼差しを送る者も多数目に付く。
改めて思うとあたしの周りはルックスがいい人が多い。それに比べるとあたしは普通、に分類されると思う。
「なんか今日の真咲可愛い!似合ってる!」
「お、俺もいいと思う!」
「本当?ありがと」
弛む頬をそのままに二人を見上げると、真美にぎゅっと音がしそうなくらい抱き締められ、蓮に頭を撫でられた。可愛い可愛い、と締まりのない顔をする。これぞ猫可愛がりだろうか。
なんだか昨日からよく抱き締められる気がするが、嫌な気はしないのであたしも真美に腕を回してみる。周りの目が親子を見るように温かいのは気のせいだろうか。
それを黙って見ていた涼太がぽつり、呟いた。
「真咲って特別可愛いわけじゃねぇけど、なんか可愛いよな」
いい笑顔で言ってはいるが、どうも褒め言葉とは受け取れない、微妙な気分だ。
ただ滅多にあたしに向けられない言葉にぽかんとしていると、真美が一言、それもまたいい笑顔で言うのだ。
「ようはみんな真咲が大好きなんだって!」
発言も発言だが、可愛い女の子に言われるとなんだか同性でもときめいてしまう。
これでLHRの時間が、赤い糸の話じゃなければ気分は最高なのだが。
口の中が空になった涼太があたしに悪戯な笑顔を見せる。
「朝から仲良しなこって」
「見てたの?」
「女子がキャーキャー騒いでた。あいつ俺に劣らずまぁイケメンだからなー」
「…茜くんに謝れ!」
「何でだよ!」
加減しながらあたしのポニーテールを引っ張る。
それが地味に痛かったので、目の前にある脱色された傷んだオレンジの髪を掻き回してやった。反論の声が聞こえたが、知らない振りをしてやる。
あ、と思い出したように声を出したので、今度は何かと涼太を見ると乱れた髪を直しながらストローを啜った。
「お前化粧薄くね?茜の好み?」
「そういうわけじゃないけど。気分転換」
「へぇ、まぁいいんじゃね」
飲み終わったのかパックを潰してごみ箱へ投げると、涼太くんすごーい、と何人かの女の子の黄色い歓声。
それに調子にのってどや顔をするこの男を無視してもいいだろうか。あたしにはあの女の子達が騒ぐ理由がひとつも理解出来ない。無駄にいいのは顔だけだ。
顔がいいのは、この二人もまた然り。
真美がふわふわの茶髪を揺らしてあたし達の方に歩いてきた。その後を追うように現れた蓮も爽やかさは健在だ。端から見ればお似合いのカップルだ。周りも思っていることは同じようで、羨望やら嫉妬の眼差しを送る者も多数目に付く。
改めて思うとあたしの周りはルックスがいい人が多い。それに比べるとあたしは普通、に分類されると思う。
「なんか今日の真咲可愛い!似合ってる!」
「お、俺もいいと思う!」
「本当?ありがと」
弛む頬をそのままに二人を見上げると、真美にぎゅっと音がしそうなくらい抱き締められ、蓮に頭を撫でられた。可愛い可愛い、と締まりのない顔をする。これぞ猫可愛がりだろうか。
なんだか昨日からよく抱き締められる気がするが、嫌な気はしないのであたしも真美に腕を回してみる。周りの目が親子を見るように温かいのは気のせいだろうか。
それを黙って見ていた涼太がぽつり、呟いた。
「真咲って特別可愛いわけじゃねぇけど、なんか可愛いよな」
いい笑顔で言ってはいるが、どうも褒め言葉とは受け取れない、微妙な気分だ。
ただ滅多にあたしに向けられない言葉にぽかんとしていると、真美が一言、それもまたいい笑顔で言うのだ。
「ようはみんな真咲が大好きなんだって!」
発言も発言だが、可愛い女の子に言われるとなんだか同性でもときめいてしまう。
これでLHRの時間が、赤い糸の話じゃなければ気分は最高なのだが。