シンデレラとバカ王子
それより、私は王子を助けた恩人だよ。

恩人を浚って、迫るってどういう恩返し?

口に出せずに心で思っていると、王子に後頭部をガッツリ掴まれて、キスをされた。

一気に舌まで入れられて、あったかくなったワインまで入ってきた。

思わず飲んでしまった。

口移しでも良いワインて言うのは味も薫りも悪くないものだということを知りました。

ワインがなくなっても、王子は顔を離してくれない。なんか、頭がボーッとしてきた。

「春の月、必ず手に入れる」

王子の青い目が私を捕らえて離さない。

「私なんかに必死になっておかしいの」

「おかしくもなる。こんなに他人を欲しいと思ったことはない。ハイネ、好きだ」

余りにも熱が篭っている声に、思わず勘違いをしそうになる。

本当に好きだと言われているような気持ちになってくる。

こんなに必要とされる、誰かに好きだと言われるなんて、こどもの頃、両親と過ごした時以来なのかもしれない。
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