シンデレラとバカ王子
ドMとしか思えない行動の数々。姉ちゃんに話したらどうなるかな?

「灰音様は灰原インターナショナルコンツェルンの跡取りだからね」

「それは知っている」

バカ!姉ちゃんには自分がどこの誰かを言ってるんだよ。

「匠さんが灰音の灰原インターナショナルと関係してるって聞いたことないわ」

「それは君が灰音さまとの関係があるからあえて言わなかったんだ」

「それは姉ちゃんを騙してたってことだな。匠よぉ。弁護士が人を騙して良いのか?姉ちゃん、こんな奴、止めた方がいいよ。姉ちゃんならもっと良い男見つけられる」

「そうね。灰音、行きましょ。さよなら匠さん」

姉ちゃんと匠を置いて歩きだした。

「ちょっ、ちょっ、待って!奏さん!騙してるつもりはなかったんだ。仕事っていうか、灰音様のお父様からの指示っていうか、遺言で…、ごめん!ごめんなさいっ!」

さっきまでのインテリの姿はみるかげもなく、匠は奏姉ちゃんに縋り付いて来た。そして、何もないところで躓いて、頭から転んで、眼鏡を割った。

あの頃から変わらずに運動神経は切れたままだったらしい。

これで分かった。こいつは奏姉ちゃんに尻に敷かれるタイプで、奏姉ちゃんに相当惚れていると。

「冗談よ。でもきっちり話してもらうからね。少しでも嘘ついたら、どうなるか分かるわよね?」

奏姉ちゃんは匠の擦りむいた鼻に絆創膏を貼りながら、少し脅しをかけていた。

「はい…」

奏姉ちゃんと匠と3人でさぶうぇいに入った。

もちろん匠のおごりだ。

「さぁ、匠。父さんの遺言ってなんだ?こっちは早く帰って眠いから手早くな」
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