シンデレラとバカ王子
自分だけ面倒くさいことから逃げて、大人たちに押しつけていた。その事実は変わることはない。

「灰音ちゃん、帰って来たくないことは百も承知だ。今日だけで良い、戻ってきてほしい」

黒瀬のおじいちゃんの声は切実だった。本当に困っていることと、私に会いたいと言う声だった。

「うん。分かった。私も逃げてるばかりじゃいられないから」

そう、いつまでも逃げてるのは性に合わない、誕生日のこの日に決着をつけてやるのも良いかもしれない。

決まれば私の行動は早い。

「匠、スーツを今すぐ用意しろ」

「は、はい!」

「灰音」

奏姉ちゃんが心配そうな顔で見ている。また、そんな顔をさせてしまった。

「大丈夫!ちょっと行ってくるだけだよ」

「奏さん灰音様は僕が守ります。安心してください」

お前に守られるほど弱かないと、思ったが、奏姉ちゃんの手前、言うのを止めた。





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