シンデレラとバカ王子
昼は花屋で働いて、夜はキャバクラでバイトをする。勿論、10代なので、接客はしないホールでお酒を運んでいる。

特別な趣味はないため、ガンガン金が貯まっていく。

お金があれば健気でなくても、魔法使いなんていなくても、ドレスも馬車(車)も用意できる。


みんなここではシンデレラです。

控え室でお姉さん達の髪をセットしていると、テレビにお姉さん達の歓喜の声が上がる。

「超カッコイイ!」

黄色い声が周りから上がって行く、どこぞの王子がテレビに映っている。

「へぇ日本とのハーフなんだ。髪が黒くて、目がブルーってなんか神秘的じゃない?」

「日本名もあるんだ。今日、来日するんだってよ。店に来てくれないかな?」

「灰音ちゃんは興味ないの?」

「ないです。今は奏(かな)姉ちゃんの髪の毛をいかに結い上げるかが大事です」

「クールな、シンデレラちゃんね。でも、ここでは理(あや)さんって呼びなさい」

「わざとです」

この店のNo.1の理さんは、私が育った施設の先輩に当たる。
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