ナンバー09 〜奇跡の恋の物語〜
『いやいや。普通は警戒するよ?
迷子ちゃん、あんまり警戒してないと、
悪い人に付け込まれちゃうよ?』
……。
「大丈夫です!ただ、心配してくれたし
悪い人じゃないと思ったんです!」
心配してくれたことが嬉しかったわたしは
思わず、大きな声で反論する。
『心配ねぇ。でも、簡単に信じてると
ホントに危ないよ。
俺が悪いヤツだったら、どうするの?』
対して変わらず落ち着いた声で
返してくる電話の向こうの優しい人。
なんで、自ら悪人を気取るのだろう?
ホントに悪い人はわざわざ自分は
悪い人だなんて言わないよ〜。
なんて、呑気に思っている私。
「どうして、そんなに悪い人に
なりたがるんですか?
やっぱり、"変"な人です!」
『お!俺はやっぱり変な人かっ!
…ぉぃ。俺、変な人って言われたわ〜。』
電話の向こうにいるらしい
誰かに話しているみたいだった。