ナンバー09 〜奇跡の恋の物語〜


「やっぱ、変わってますよね。
優しいですけど。」


つい、本音を
言ってしまった。


「え?何か俺、
けなされたあと、褒められた?
なんか、複雑だね。」

……失言したかな私。

でもなんかやっぱり似てる。
名前が同じだったらちょっと似るのかな。


「…あはは。
やっぱり、面白いです。」


とりあえず、笑ってごまかす私。


…と、電話の向こうから
ガタッという音が聞こえて話す声がした。

少し電話を離した様子の声がする。
「ん?なにかあった?
(すみません!"カナトさん"。お電話中に…。
ちょっと予定前倒しになりました。
前が、あっさり終わったみたいで。)

わかった。すぐ行く。」


なんか、忙しそうな雰囲気が
電話の向こうから伝わってくる。


「…あ、じゃあもう切りますね。」


これ以上、ご迷惑お掛けしちゃいけない。

そう思って言った。


「えっ。あ、うん。気を遣わせちゃってごめんね。
あ、そうだ。仲内カナトが好きなら
今日の夜九時のテレビ大和(ヤマト)、
見た方がいいと思うよ!」

わたしは、なにも考えないまま
返事をした。


「え?あ、はい!」


テレビ大和っていえば、
6chだよなぁ…。

何かあったっけ?


「絶対見たほうがいいよ!忘れないでね。」

なんか、念を押された。


「はい、見ます!」


< 23 / 31 >

この作品をシェア

pagetop