ヴァムピーラ
「コータさん、その子は?」
コータさんと一緒に来た私を見て、品定めをするように見つめてくるその人達は、モデルさん達なのだろう。
背が高くて、スタイルが良くて、たしかに綺麗だ。どの人も自信満々といった様子で、突然入ってきた私に敵意のような視線を向ける。
「この子はね、カノンちゃん。河島さんがつれてきたカメラマン志望の女の子よ」
カメラマン志望と聞いた瞬間、彼女達が向けていた敵意が一気に消えた。
にっこりと笑って、私に挨拶してくる。
「単純ねぇ、貴女達」
そうやって笑うコータさんにも、それが伝わっていたのだろう。それに臆することなく、尋ねてきた女の人は、
「当たり前よ。こんな綺麗な人が入ってきたら、ライバルになるでしょう?勝ち上がるためには、蹴落とさなくちゃいけないもの」
そういうふうに胸を張って言う彼女の言葉は、不思議と嫌味には聞こえなかった。
正真正銘の事実だからだろう。
彼女達は努力して、勝ち上がって、ここまで上ってきたのだろうから。
「ふふ、驚くわよ、シオ。この子は、あのミウの娘なんですって」
「えっ」
シオと呼ばれた彼女は驚いて私を見た。私は、首をかしげる。