ヴァムピーラ
食事を終えて、お風呂に入った私は、楽な格好で自分の部屋に入った。
私の部屋の壁に飾ってある、私が撮った写真。全てが自然を撮ったものだ。
私は、ありのままの自然を撮ることを自分に課している。
例えば、撮りたい花にハエが止まったとしても、私は追い払うことはせずに最高の瞬間を待つ。
だけど、最近私はスランプに陥っていた。
撮りたいものが撮れないもどかしさを感じている私に気づいた父が、参考になるようにと河島さんに私を紹介したのだろう。
先ほどは、父から河島さんの名前を聞いたとき、正直どきりとした。
河島さんの撮影を見学しに行ったときに出会った一人の男。
そいつの顔が、表情が、仕草が、私の頭から離れなかったから。
『人間はさ、その自然界の最高傑作だとは思わないかい?』
以前の私だったら、河島さんの言葉を素直には受け入れられなかっただろう。
だけど、私はリキに出会った。最高の見た目を持つ男に出会ってしまった。
一つ一つの動きが、私を魅了する。
仕草が、声が、瞳が私を捕らえる。
私は今も、リキに捕らえられたままだった。