ヴァムピーラ

「カノン?」

 呼びかけたまま黙ってしまった私に、母がいぶかしげな顔をした。
 このまま、黙っているわけにはいかない。私は意を決して口を開いた。

「お母さん、私・・・知っちゃったの」
「何を?」

 不思議そうに首をかしげる母。私は、深く息を吸って、

「お母さんが、吸血鬼だってこと」

 吐息に乗せて、言葉を紡いだ。


 一瞬、時間が止まったかのようだった。
 私は恐る恐る母の顔をうかがう。

「・・・」

 私と同じ色の瞳を見開いて、私を見つめている母の手は、完全に止まっていた。

「お母さん、私・・・河島さんとレアさんが話をしていたのを偶然聞いちゃって・・・」

 顔面蒼白になった母は、唇をかみ締めた。

「・・・カノンは」
「ん」
「私が怖い?」
「怖いわけない!」

 私は首を横に振った。
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