ヴァムピーラ
「最初は、驚いたよ!でも、お母さんはお母さん。人間でも、吸血鬼でも、私にとってお母さんは、お母さんしかいない」
私は伝えなくちゃいけないと思ったことを、素直に言葉にした。
それを聞いた瞬間、母が大粒の涙をこぼす。そして、震える手を私に伸ばした。
私は迷わずその手を握った。
「お母さん、今まで私を守ってくれて、ありがとう」
「カノン・・・っ」
母は、力強く私を抱きしめた。
人間ではないということで、拒絶され、傷ついた母。その母を受け入れ、結婚した父。
「私は、お父さんとお母さんの子に生まれて、よかったって思ってるよ」
人とは確かに違う。
もしも誰かに知られたら、恐れられるのかもしれない。そして、そのことに傷つくのかもしれない。
それでも、
「私は、胸を張ってお母さんの娘だって言えるから」
「カノン・・・」
私はヴァムピーラなんだって、胸を張って生きたい。
人間ではないのかもしれない。それでも、私はここに生きている。それを、誰にも否定させたりなんかしない。
「カノン、ありがとう・・・今まで、黙っててごめんなさい・・・」
私は、お母さんの背中を抱き返した。