一般人になるまで
「私はまだ、行くとは返事していないのだけれど…もう無駄ね」

ぼそりと、独り言で不満を呟いてみるが、原因の元はそこにはいないと自分を虚しくさせるだけだった

ボーっとしながら、数学の授業を聞き流して空を見ていたら、いつの間にやら黒板に訳の分からない数式が並んでいた

こりゃあ、当てられたら終わりね…
と考えた矢先、先生のチョークの矛先が私の方を向いた
僅かな(わずかな)希望で後ろをチラリと見てみるが、岸谷お前だ、と言う声が聞こえ渋々と席を立った

しかし立ったはいいものの、全く答えが分からない
三分間ほどの沈黙が由紀にとっては一時間あまりに感じるほどだ

空気を読むとすれば、解りませんとは言えない空気

たぶん授業をきちんと聞いていれば簡単な内容なのだろう

どうしよう…
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