一般人になるまで
拓人と別れたあと、由紀は古本屋で立ち読みをして、ファミレスで、ナポリタンを頼む
このナポリタンこそが本日の晩ご飯だ

あと三時間はここに居ようかしら
由紀は心の中で、決心する


父や母は私のことを避けるように行動する
私に避けていることが分からないように、仕事で遅くなっただとか理由をわざとらしく言うが、夕食を家族で食べれば会話はなくなるし、私が一階に降りれば、いきなり立ち上がってお風呂に入ってくるやらトイレに行ってくるやら
どこに一時間も二時間もトイレに引きこもる人がいる


しかし私も、避けられる理由は分かっているから、何も言わないし、何も言えない
だから、夜はなるべく遅く帰るし、朝はなるべく早く出る

これはもう義務とされていることだ

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