薔薇刺青
主を思えば胸が疼きます。
ああ恋心とかそんな色っぽい事情ではありませんよ決して違うんで勘違いしないでください変な方向に話を曲げないでください妄想に入り浸ってはいけませんよ私がね。
傷が疼くたびに、あなたの意地悪な顔が思い出されるのです。
慣れたはずなのに変ですね。
やはり未だ私はあなたに反抗したいのでしょうか。
「主」
「――あ?」
「そう仰るなら、あなたに文句を述べたなら私をも燃やしますか」
「………」
ティーカップに注いだお茶を、一口啜って考えるような瞳をしました。
彼の場合飲めればいいやーな所があるので時折マナー無視して立ったまま飲めます。
そんで周囲の紳士に怒られます。
「如何ですか、主」
「聞くか、そんなことを。」
「すみません、気になったものですから」
「お前を燃やす時は『俺』が死ぬ時だ」
「……と、言いますと」
「そうだな、お前が俺に文句言った日には屋敷ごと全焼するんじゃないか」
「――物騒なことを仰います」