薔薇刺青



華やかな屋敷で、人並みと思われる以上の生活を与えてみた。



人は快楽が好きだから、死なんて直ぐに忘れるだろうと思った。



けれど君は忘れない。


忘れようとしない。



いつだって剣を探し求めて、手に入れてはその細い身体に突き刺そうとする。



まるで、否、彼女は死に依存しているのだろう。



死が隣に無いと生きていけないだなんて、そんな馬鹿な人間がこの世にいるものか。



ムキになって彼女を邪魔すれば、次第に彼女の視線は憎悪と殺意で満たされていく。


生きるか否かが問題ではない。


死ぬか否かが最大の問題点とするならば、『否』の選択肢の後はどうだっていいのだ。




ことあるごとに恩恵を拒む。


何が欲しいと問えば殺してくれと言っただろう。



人選ミスだ、もっと解りやすいのを拾えば良かった。



そう思う反面で、実は彼女の邪魔をするのも楽しくなってきたりする。



ならば次は。



『本気で殺せばどうなるか』。



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