大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】
「…………?」

由香里の頭の中が真っ白になった。

「君が綾瀬を好きだから俺を振ったのは分かっている。」

「でもあんな熱烈な告白まがいの言葉を聞かせられたから……勘違いをしてしまいました。」

西園寺はポケットから煙草を取り出すと1本咥えて火をつける。

木崎がこの間吸っていた煙草だ。

ふっと、白い煙が彼の口から洩れた。

「今日は辛い事をさせてしまいましたね。好きでもない相手の婚約者なんて。」

彼の言っている事が理解できない。

由香里が綾瀬を好きで、西園寺社長を振った?

全く身におぼえない事だった。

思い当たるのは木崎との出来ごと。

そう確か、あの時は会社の同僚が好きだと……小さな嘘をついた。

まさか本人が目の前にいたなんて知らなかったから。
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