大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】

◇◆◇◆

「ところで社長。」

「ん?」

書類に目を通しながら西園寺は答えた。

由香里が上目使いに彼を見ていた。

どうやら仕事の事ではないらしい。

「親知らず、抜かなくちゃ……駄目ですか?」

何かと言えばそんな事かと西園寺は笑ってしまった。。

「駄目。大丈夫……痛くしないから。」

「っえ、抜いてくれるの?」

驚く由香里。

「俺以外の奴に抜かせるなんて……無理でしょ?」

『木崎』の時に見せる由香里の大好きな微笑みが彼女を包みこんだ。

「………よろしくお願いします。『西園寺先生』」

由香里は彼の顔から視線を逸らせない。

昨日の夜からもう掛けるのをやめたと言っていたメガネ。

遮るレンズのない顔は彼女を惹きつけてやまなかった。

「……ところで指、美味しかった?」

そう言って彼の人差指がそっと口元へ寄せられる。

彼の舌が由香里に見せつけるように指先をぺろりと舐めた。

直後、彼女の顔が真っ赤に染まって声にならない叫びを上げたのは言うまでもない。

彼と彼女の本当の関係は今、始まったばかり。







Fin
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