大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】
「なんだ、用事でもあったのか?」

彼は凄く意外そうな顔つきで由香里に聞いた。

「お買いものとか……。」

まさか『用事はありません』とは言いづらい状況。

由香里はとりあえず無難にそう言ってみる。

「……誰と? 友達?」

すかさず彼の突っ込みが入った。

少々ムッとした顔つきが、自分より優先される相手がいるのか?と、聞いてきている。

「……眼の前にいる人と。」

何となく恥ずかしくなって顔が火照ってしまう。

なんで折角のお休みなのに抜歯をしなくてはならないのだ。

恋人同士、一緒にお出かけしたいと言っても贅沢ではないと思うのだが。

「それなら午前中で抜歯の手術は終わるから、午後から連れて行ってやる。」

「やった!」

大きなニンジンをぶら下げられて、彼女はつい抜歯の件を了承してしまったのだった。
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