大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】
一転して泣き落しだ。

もう西園寺に勝ち目はなかった。

「……すまなかった。軽く考えすぎていた俺が悪い。」

そう言って涙に濡れたまつ毛にそっと口づけを落とす。

「今度、腫れが引いたら一緒に出かけよう。」

「……本当に?」

大きく見開かれた瞳が彼を見つめた。

「ああ、約束だ。」

触れ合う事は出来ても彼女の今の口にはキスは出来ない。

西園寺はそっと由香里を抱きしめた。

歯科医としての西園寺は『安静に』と言っているのに、恋人としての剛が由香里を安静には出来そうにもないようだ。

鎮痛剤が効いてきて彼女が眠りにつくまで、2人はずっとベッドで抱き合っていた。
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