大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】

3

「おはようございます。」

薬のおかげで睡眠だけはしっかり取れた由香里は、まだくすぶる週末の重い気分をそのままに出社した。

「由香里ちゃん、顔色はすごくいいのに……暗いんだけど。」

「……歯を抜いて、頬が痛いんです。」

鈴木の言葉にとっさに嘘をつく。

何となく、今の気持ちを口にしたらそれが本当になるような気がした。

私は身代わり?

考えれば考える程そんな気がするのだ。

突然の転属は、能力での抜擢ではない事ぐらいすぐに分かっていた。

実際、彼にもそう言われていたのを思い出す。

大体、西園寺は由香里のどこを好きになってくれたのだろう?

何時も彼に翻弄されてばかりで聞いた事がなかった。

言いようのない不安を抱えながら、由香里は社長室の自分のデスクへと向かうのだった。
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