大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】
ありえない事だった。

斉木ですら無意識だが2人を比べてはっきりと由香里を選んでいる。

だから2人と間近で付き合っている西園寺に改めてそれを問う必要もないはずなのだ。

もし西園寺が由香里の杞憂の通りの考えをしていたのなら改めて斉木は由香里を手に入れる事が出来るのだが、きっとそうはならない。

なによりも、眼の前で悲しそうな表情を浮かべる彼女が心配だった。

「由香里さん……。」

斉木が説明しようと口を開くと、由香里の顔が少し強張った。

「社長……。」

由香里の言葉に振り向くとカフェの入口から西園寺が入ってくるところだった。

「外から見えたので一緒に会社に帰ろうと思ったんだが……斉木、何故いる?」

彼の冷たい声に、一瞬由香里の指がびくんと震えた。
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