大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】

「由香里、パスポートの期限は切れていないか？」

あい変わらず書類に目を通しながら西園寺　剛が由香里に尋ねた。

最近は職場でも２人の時には名前で呼んでくる最愛の上司。

伊達メガネをしていないその顔にこの頃やっと慣れてきたものの今のように不意打ちで名前を呼ばれるとやっぱりドキドキしてしまう。

「は、はい。大丈夫です社長。」

名前を呼ばれてくすぐったい気分になるが流石に自分までも名前で呼び返すわけ
にもいかず由香里は表情を引きしめた。

彼女が言う呼び方が気に入らないのか西園寺が一瞬眉をひそめる。

しかし、直ぐに諦めたかのようにはぁっと溜息をついて、手元の書類を無造作に書類ケースに入れた。

「たまには、名前で呼んでくれてもいいと思うぞ。」

西園寺にそう軽く苦情を言われて由香里の頬がほんのり赤く染まった。

「だって思い出しちゃいます…。」