大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】

レストランについて受付で木崎が名前を告げると直ぐに支配人らしき男がやってきた。

２人は小さなグランドピアノが置かれた個室へと案内される。

店内を横切った際、きらびやかなドレスをまとった女性たちが一斉に由香里たちを見つめた。

否、女性たちが見つめているのは由香里たちではなく『木崎』だ。

彼はそんな熱い視線など気にする風もなく、隣に並ぶ由香里にほほ笑んでいた。

流石最上階に位置するだけあって窓から見える夜景はとても素晴らしい。

由香里は個室に通されると眼の前に広がる素晴らしい光景に眼を奪われた。

彼女は席に座るのも忘れて外の景色に見入る。

「そろそろ食事が運ばれてきますから一旦座りませんか？」

いつまでも席に着こうとしない彼女に木崎はクスクスと笑いながら近づくとそっと椅子を引いてエスコートした。

「ありがとうございます。」

由香里がほんのり頬を赤く染めながら木崎にお礼を言って席に着くと、間もなく食事が運ばれてきた。

色とりどりの野菜の盛りつけられたサラダに由香里は眼を輝かせた。

運ばれてきた料理はどれも美しく、そしておいしかった。

途中から一人の女性が入ってきて部屋の隅に置かれたグランドピアノを演奏し始めた。

ピアノの優しい旋律が料理を更に美味しくしてくれる。

由香里は改めて食事に誘ってくれた木崎にお礼を言った。

「こちらこそ付き合ってくれて、ありがとうございます。」

木崎はノンアルコールのビールを口に入れながら由香里が最後の料理を食べ終わるのを嬉しそうに見つめていた。

「帰りにちょっと寄りたいところがあるのですが時間は大丈夫ですか？」

手元の時計を見てみるとまだ21時。

時間は十分にあった。

由香里自身、まだ木崎といたいと思っている。

「はい。大丈夫です。」

2人はピアノの奏者にお礼を言ってレストランを後にした。