大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】
由香里は家の前で車から下してもらってお礼を言うと、そのまま玄関を開けてドアを閉める。

表で車の立ち去る音が聞こえた。

由香里はドアに寄りかかったまま靴も脱がずに茫然としている。

「……親知らず、抜けなくなっちゃった。」

由香里の歯の治療はすべて終わっていた。

残っていたのは延び延びになっていた親知らずの抜歯だけ。







きっともう、


親知らずを抜く事は……


出来ない。







由香里はその日、眠るまで涙が止まらなかった。
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