大好きなアナタと、気になるアイツ【番外編更新中】

西園寺は鈴木の説明を黙って聞いていた。

デスクに座っている由香里にも分かるほど、室内の空気が重い。

由香里は眼の前の仕事が手につかず、じっと2人のやり取りをうかがっていた。

「で、これは西園寺が動いた方がいいかと思うんだけど……。」

「当たり前だ。」

今まで聞いた事がないような西園寺の低い声。

鈴木は用件が済んだ事を知ると由香里に小さく手を振って部屋を出て行った。


西園寺は鈴木がいなくなったことも気にせずに手元にある電話で連絡をとり始めた。

この時間では現地はまだ早朝のはずだがそんな事は関係ないらしい。

「hello？西園寺だ、朝からすまない。まだ自宅か？」

どうやら現地の支店の職員の自宅に掛けているようだ。

「俺がいなくなってから何か変わった事がなかったか？　ああ、この間の件は助
かった。」

彼はいくつか相手に確認すると受話器を置いた。

その後、いくつかのメールを送って席を立つ。

「志水、分かっていると思うがこの件は内密に。」

「はい。」

由香里は頷く。

「それと、この案件が片付いたらお前は営業部に戻れ。綾瀬にチームを持たせるからそこに入ると良い。」