七つの椅子
プロローグ


どうして…どうして俺はこんなにも不幸なのだろう。


俺はいつだって何をやっても上手くいかない。

小学生の頃、短距離走では決まってビリ。

足が遅い訳ではない。

ゴール目前で、足が絡まって転んでしまうのだ。

学生時代、一度もゴールテープを切ったことがない。

中学生の修学旅行、奈良で俺だけ鹿に追いかけられ、池に落とされた。

だから今でも鹿が怖い。

同じく修学旅行、地元の怖い男にカツアゲされた。

俺の一万円………。

高校生の頃は親切心で老人に席を譲ったら満員電車の中、怒鳴られた。

それ以来、席を譲らなくても平気なように空いていても吊革に掴まる様にしている。

新品の服は鳥の糞で汚されてしまう。

怪我なんて日常茶飯事だし、酷い時は事故に遭ったり、骨を折って入院までもした。

死ななかったのは奇跡だ。

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