七つの椅子
第十四話
「地味」
「なっ!?」
今日は赤い丸印の集う場所に向かう事になっている。
遠出をするからとエレナに『ちゃんとした服装で』と言われたので、俺は細身の黒いスーツ姿でリビングに登場した。
「前に着てた、いかにも“仕事用”じゃないのは良いけど……全体的に地味よ」
“地味”という言葉が胸に突き刺さり口から魂が抜けていきそうだ。
「ネクタイの色……嫌いじゃないんだけど……ダメね」
スーツに合わせ、細いタイプの淡い赤色のネクタイを締めていた。
「白いワイシャツ……ネクタイ……髪型がダメ」
「……それ、全部じゃん」
俺は自分でコーディネートをしないと誓った。
「面接にでも行く気?」
エレナに手を引っ張られ、二階にあるウォークインクローゼットへ連れて行かれた。
エレナはガサゴソと俺の服が詰まったクローゼットをあさり始める。
「あ、これ」