七つの椅子
「普通の店ね」
「あぁ。特に変わった所は見当たらないな」
いくつも同じテーブルとイスの並んだ店内。
BGMもTVも無いので、俺達しか居ない店内は静か過ぎる。
「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですかな?」
氷の浮いたグラスを2つ持って来た腰の曲がった老爺。
「じゃぁ……天ぷらそば」
「私は、とろろそば」
壁に掛かったメニュー札から1100円の天ぷらそばを注文した。
気付けば朝からコーヒーしか口にしていないので、腹が減っている。
かつおだしの香りに腹の虫が鳴った。
「椅子はどこにある?」
「この店の真下よ」
エレナが小さな声で答える。
「椅子だけじゃなくて結構な人の人数が居るわ」
「……下に集ってんのか」