七つの椅子
第十五話
明かりが無い為、ぼんやりとしか周りが見えない。
細く薄暗い階段を下り切り、地下のひんやりとした空気が、新たな扉の前に立った俺達を包み込む。
その扉を押し開くとレンガで囲まれた小さな部屋が現れた。
電球が一つ点いているだけで、怪しさ全開の薄暗い部屋には仮面が無数にテーブルの上に並んで置いてあった。
そして更に奥へ続く扉が見える。
「お面ばっかで気持ち悪い」
確かにエレナの言う通り、小さな明かりで、仮面がぼわーっと浮かび上がる光景は不気味だ。
「色々種類があんだな」
仮面舞踏会で使いそうな目の部分だけの仮面に、顔全体を隠す白い仮面。
左右で色の違う白黒の仮面。
口元が割れている仮面。
サンバを連想させる派手な仮面。
はんにゃ、ひょっとこ、夏祭りの屋台で見かけるヒーローや魔女っ子のお面まである。