七つの椅子

顔は隠れているが、オシャレな服で分かる。

きっと同じ様に向こうも、此方が店に居た者と気付いているのだろう。

だがそれ以外の人物が誰なのかは分からない。

周りを見渡しながら、エレナと出入り口に近い一番上の段のソファーに座る。

床に埋め込まれたライトのお陰で、薄暗い会場でも転ばずに済んだ。

「殺の椅子のオークションと言ったところか」

ここに居る全員が金銭感覚のネジが飛んだ金持ちにしか見えない。

「仮面でお互い誰かなんて分からないけど、そば屋のご主人を含め全員が共犯者ってわけね」

出入口の扉が開き、仮面を付けた男が入って来て席に着く。

男女二人で来た人も居た。

魔女っ子のお面を付けて来た、ベルトに腹が乗った男には驚いた。

コスプレをしている外人も居た。

「なぁ……ここに居る人達が誰か分かるか?」

隣で座っているエレナの方に軽く身を乗り出し、耳元で質問を囁く。

「簡単よ。任せて」

仮面の奥の瞳が緑色に輝く。




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