七つの椅子

制限時間が残り僅かになってきた。

「入札しなくなった人が殆どよ。案外安く手に入りそう」

エレナは緑色に輝く瞳で他のビッターの様子を窺っているようだ。

残り時間が1分を切った。

一秒一秒数字が削られてゆく。

心臓がバクバクして口から飛び出しそうだ。

緊張しながら数字の動きを見つめる。

残り55秒になると、俺が出した最高金額が変えられてしまった。

「いっ一億……!?」

驚きながらも落札する為にキーボードに乗せる指を動かす。

だが、誰かが千万単位で金額を上げてゆく。

残り45秒。

「くそっ!上げてるのは誰だッ?」

こちらも千万単位で対抗する。

だが直ぐに変えられてしまった。

「清太よ!もう貴方と清太しか残ってないわ!」

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