七つの椅子
第十七話
「彼です!!」
天井からのスポットライトに照らされたのは、はんにゃの面を付けた寿だった。
「はは……アハハハハハハハッ!!勝ったぞ!俺がウィナーだっ!!」
高笑いする寿を見て、俺は脱力した。
「そんな……。な、何かの間違いよ……」
エレナの力無い声が隣から聞こえる。
「いや、間違いなんかじゃない……」
自分の手元にあるノートパソコンの画面を見つめる。
真っ暗になっていた画面には最高金額だけが表示されていた。
「あぁ競っていた貴方、残念でしたね。ほんの一瞬入力が遅かった。いったい、どれほどの大金を打ち込んでいただけたのでしょう……。楽しみにしていたので残念です」
老爺は残念と言っていながらも、口調はとても楽しそうだ。
「俺達は寿の会社拡大の熱意に負けちまったのか……?」
ハハ……と乾いた笑いしか出てこない。
「どんだけ汚いやり方で会社を大きくすれば気が済むわけ?」
苛立ったエレナは緑色に輝く瞳で、汚れた寿の心の内を覗く。
「ちょっ……彼は貴方を殺す気よ!!」
青ざめたエレナは俺の腕を掴んだ。